聴き比べ・いろいろ

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聴き比べてみよう、、この曲

一口に“聴き比べ”と云ってもいろんな見方・解釈がありますね。ここではいろんな角度から聴き比べをしたレポート・・・・・・
私なりのレビューと考察です。

順不同でお送りします。

 

■同じ曲を違った味付けで・・・・・

冷たい雨

作詞:松任谷 由実 
作曲:松任谷 由実 

 

上》 バンバン

CBSソニー    SOLB 289− B    
昭和50年 8月発売


下》 ハイ・ファイ・セット

東芝EMI     ETP−20250   
昭和51年 4月発売
★☆

 

バンバン盤(言いにくい・・・・)はA面が大ヒットして有名ですが、軽めのアレンジ。ドラマチックに進行するA面にかすんでしまった感があります。

ハイファイセット盤はハーモニーを活かしつつ何となく“軽さ”をある程度排除したようなアレンジになっています。

コレは恐らくバンバンに対してひとり増えた分(しかもメインが女性)が音に影響したと思うのですが考え過ぎかも、ね。

 

釜山港へ帰れ

作詞:三佳 令二(日本語詞) 
作曲:黄 善友 

 

上》 渥美 二郎

CBSソニー    07SH 1389   
昭和58年 8月発売


下》 日野 美歌

テイチク      UE−555− B    
昭和58年  月発売
★☆

この曲もいろんな歌手が歌ってさながら“合戦”のようでしたね。一番知られているのが《上》の渥美盤。

多くの競作盤がA面で“勝負”したのですが日野美歌盤では「想い出グラス」のB面にセットされました。

韓国歌謡は動と静の二つの顔を持っていると思いますね。エネルギッシュに歌うのも良いのですが日野盤のようにしっとりと歌うのもまたオツなモンです。

 

アザミの花

作詞:岡田 嘉子 
作曲:郷 伍郎 

 

上》 沢田 亜矢子

RCA        JRT−1290  
昭和48年 4月発売
★★☆


下》 純 アリス

フィリップス    FS−1748 
昭和48年 5月発売
★★★☆

当時岡田嘉子が作詞したことで話題になった曲です。アレンジは沢田盤が馬飼野康二、アリス盤は青木望です。

セールスの方は沢田盤が一歩リードしましたが馬飼野アレンジでは後半の♪アザミ〜の部分から緩急をつけている比較的歌謡曲路線です

それに対し青木アレンジの純アリス盤は間奏部分で緩急をつけてロシア民謡色を出したところが味わい深いです。

私個人としては純アリス盤に軍配を揚げたいです。彼女の歌唱にどこはかとなく色気を感じてしまうのですが(私としては)。

 

ひとりの悲しみ《上》
また逢う日まで
《下》

作詞:阿久 悠
作曲:筒美 京平(両盤とも)

 

上》 ズー・ニー・ヴー

コロムビア    LL−10123−J   
昭和45年 2月発売
★★★★


下》 尾崎 紀世彦

フィリップス    FS−1183 
昭和46年 3月発売
★☆

 

これ、タイトルと歌詞は異なるけれど同一の曲です。

ズー・ニー・ヴー盤が先に出ていますので「また逢う日まで」の方は“ハメ込み詞”ということになりますね。

「これから別れる」また逢う日までに対して“ひとりの悲しみ”では二人にキレツが入っていく過程が歌われていて(二つの歌の間には)同じ男女のことを歌っていても微妙に時間的にズレがあります。

1年後に歌詞を替えて再発売していることから作曲者には余程このメロディーに自信があったのかな、って思いましたが・・・・(レコ大を取ったことで作曲者はナットクされたと思います)

涙が微笑みにかわるまで《上》
まちぶせ
《下》

 

 

上》 美岐 陽子

作詞:万里村 ゆき子(訳)
作曲:アーノルド・ゴーランド

CBSソニー    SOLA 1   
昭和47年 3月発売
★★★☆


下》 三木 聖子

作詞:荒井 由実
作曲:荒井 由実

キャニオン    N−3 
昭和51年 6月発売
★★★

 

この2曲は「同じ歌」ではありません。

「涙が・・・・」の原曲はフランソワーズ・アルディが歌っています(日本題は「さよならを教えて」)。

また美岐陽子が歌ったCBSソニー盤もあえてファーストナンバーを与えていることからある程度期待をかけていたのではないでしょうか。当時そこそこのアピールはあったと思います。

その上で《下》「まちぶせ」を聴くとどう聴いてもユーミンはを作曲するにあたりこの曲に強く影響を受けていることは否めないでしょうね。

出だしの部分はほとんど同じ雰囲気ですし歌詞の内容も近いところがありますので一ひねりしたのがホンネだと思うのです。

さすらいのギター

作詞:《上》千家 和也
    《下》萩原 ひかる(訳) 

 

上》 小山 ルミ

テイチク      US−712   
昭和46年 8月発売
★★


下》 ラブ・ストーリー

フィリップス    FS−1209− B    
昭和46年 7月発売
★★★☆

 
どちらも70年代テイストを熱く感じるアレンジです。

小山ルミ盤の方が良く知られています。パーカッションの効果が良く出ているラテン系の味付けは川口真。

一方ラブ・ストーリー盤のアレンジは葵まさひこで小山盤に決して引けを取らない出来映えです(A面の「ノアの円盤」もナカナカ面白い曲です。レビューは別項で)。

発売は微妙にずれていますが恐らく原曲に近い歌詞はラブ・ストーリー盤。
(恐らく、というのは私自身原曲を知らないからです。失礼。ま、「訳詞」となってますから間違いないとは思いますが。)

小山盤は「ギター」を暗喩するコトバが歌詞に出てきません。別の歌詞、と捉えた方がよいかも知れませんね。

ところで同じ曲なのですが作曲者のクレジットが異なっています。小山盤が
J・リーブ・カインド、ラブ・ストーリー盤がK.Manilovとなっています。

 

■同じ歌手のシリーズから・・・・・

上》京都特急

作詞:なかにし 礼 
作曲:鈴木 邦彦

コロムビア    P−197  
昭和47年11月発売
★☆

中》恋人電車

作詞:千家 和也 
作曲:鈴木 邦彦

コロムビア     P−218   
昭和48年 4月発売
★★★

下》彼はヨコハマ

作詞:千家 和也 
作曲:鈴木 邦彦

コロムビア     P−235
昭和48年 7月発売
★★★★

 

歌》 泉 まり

これは彼女のデビューから3枚。

京都に待つ恋人に『特急』に乗って逢いに行く設定です。「あなた」に逢える駅まであといくつ、と数えるあたりになかにし流のセンスを感じました。

この当時新幹線は岡山までで西への拠点はこの京都でした。歌詞にあるように京都まであと4つの駅と言えば姫路か豊岡あたりと推定しますが・・・・・・・
(ジャケ写のイメージからは山陰か??ま、いま風に言えば遠距離恋愛ですね)

『電車』のほうは京都の恋人に「逢いに行く」前作とうって変わって今度は名古屋を舞台に恋人に“待たされる”設定です。

『ヨコハマ』は(前作からの流れていくと)彼の足跡を追って横浜まで来たが結局逢えなかった・・・・・・・

結局最後までカレシはやって来ないのですがいわゆるアイドル路線が確立されていなかった時代のせいかアピール度が若干弱かったのではないでしょうか。ワタシ的にはドラムの音色に70年代の香りを感じるのです。

特に3枚目「ヨコハマ」は彼女の歌唱に曲も良くあっていますし彼女自身良く歌っていると思うのです。前2作が売れていればどうなったかは解りません。ジャケ写もイイですし。

上》ある事情
中》アパートの鍵
下》私のかなしみ

作詞:安井 かずみ 
作曲:筒美 京平
(3枚とも) 

 

上》

東芝       TP−20060
昭和49年10月発売
★★


中》

東芝       TP−20100
昭和50年 2月発売
★★☆


下》

東芝       TP−20147
昭和50年 7月発売
★★★☆

 

この3枚は小林麻美にとってデビューから4〜6枚目に当たります。

前作「恋のレッスン」から約1年半のブランクを経て『ある事情』がリリースされたのですが、そう言った意味でもタイトルは意味深です。

3枚の流れは
@“ある”事情があってひとりの女性がカレシの家を訪ねる、
A“アパート”の鍵を隠し場所を知って半同棲を始める、
Bカレシに別の女性の存在を知って私の“かなしみ”がはじまる・・・・

3枚とも作詞・作曲の組み合わせが同じ(ちなみにアレンジは『ある事情』のみ萩田光雄、あとは筒美京平)で、歌詞の中に次作への伏線がキッチリ張られているのも面白い所です。

『私のかなしみ』の後小林麻美はしばらく芸能界から“消え”ます。なんとなくこの歌は彼女自身を歌っているかのようにも聞こえるのですが・・・・・・

 

   
   

 

■リバイバル各種・・・・・

昭和50年あたりからリバイバルが一種のブームでした。昔ヒットしたアノ曲をもう一度・・・・もう一つはかってB面で知られていない

隠れた“名曲”を発掘・・・・の2パターンになると思います。

ハロー・グッバイ

作詞:喜多条 忠 
作曲:小泉 まさみ

上》アグネス・チャン(B面)

ワーナーパイオニア  L−1280W− B 
昭和50年12月発売
★☆


中》讃岐 裕子

ワーナーパイオニア  L−71R
昭和52年 7月発売
★★★

 

 

下》柏原 よしえ

 

フィリップス     7PL−57   
昭和56年10月発売

 

柏原よしえのヒットで有名なこの曲、最初はアグネス・チャンのB面曲でした。

♪紅茶のおいしい喫茶店・・・・
実は私はコーヒー党で滅多にサ店で紅茶を頂くことはありませんが、晩秋から木枯らしが吹くころでしたらやはり紅茶が似合いますね。

三種三様の歌唱ですが讃岐裕子の声質が最もハイ・トーンでクリアな印象。センの細い所がオトメ心の切なさを最も良く伝えているような気がしますが・・・

 

三枚の写真

作詞:松本 隆 
作曲:大野 克夫
 

 

上》石川 ひとみ

キャニオン     7A 0116
昭和56年10月発売

 


下》三木 聖子

キャニオン     N−11
昭和52年 1月発売
★★★

 

 

「まちぶせ」のヒットのあと石川ひとみが歌ったのが同じ三木聖子オリジナルのこの曲。

2つ年上の彼氏、過ぎゆく時と移りゆく季節、そして三枚の写真・・・・
ストーリー性の強い詞を書かせると見事です、松本隆。

石川盤もいいのですが彼女は歌が上手すぎた。三木聖子のセンの細い歌唱の方がこのテの歌にはシックリきます。

♪ねぇ〜の部分を聴いていると太田裕美の声に似ているように感じました、私は。

三木聖子はこの曲と「まちぶせ」の間に「恋のスタジアム」(N−7)があります。

 

あの場所から

作詞:山上 路夫 
作曲:筒美 京平 

 

上》 Kとブルンネン

CBSソニー   SONA 86156   
昭和45年  月発売
★★★★

中》 朝倉 理恵

CBSソニー   SOLB 2   
昭和48年 2月発売


下》 柏原 よしえ

フィリップス    7PL−88   
昭和57年 8月発売

イチバン下の柏原盤がヒットしましたが初めて聴いたのは真ん中の朝倉盤だったのです。そのとき感じたのは男女のお互いの気持ちを歌っているのに女性ソロなのは効果を狙ってのこと?・・・・・・
いや、それよりも“木をかついで”いるようなジャケ写の方が気になります、、、
私は。

その後オリジナルが別に存在することを知り、そのKとブルンネン盤を聴いたとき妙にナットクしたのを憶えています。

なるほど前半を掛け合いで後半を共唱しています。確かに歌詞からいくとこれが正解なのですが。

昭和ブルース

作詞:山上 路夫 
作曲:佐藤 勝 

 

上》 ザ・ブルーベル・シンガーズ

ポリドール   SDP−2043   
昭和44年 9月発売
★★


下》 天知 茂

ポリドール   DR 6407   
昭和49年 8月発売
★★

どちらも映像にカラミがあります。《上》は東映映画「若者は行く」で《下》はTVドラマ「非情のライセンス」のエンディングに使われています。

天知盤が出た当時、石油ショックの余波を受けた不況のまっ最中でした。「昭和枯れすすき」もそうですが不景気の時はこういった曲調が受けますネ。

それよりも事件が解決して“後ろ姿のニヒルな男”をバックにこの歌が流れる、のは演出としてもヨカッタのではないかと思いました。

他にもいろいろあるのですがとりあえずジャケ写対比、ということで。
☆いずれレビューをアップ・・・(する程でもない、か・・・・・)

 

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